第96話

このランドセルには、見覚えがある。

これは、千歳のランドセルだ。

なぜここにあるのか、なんとなく予想はついた。

あいつらだ。

あいつらが、千歳が教室を出て行った瞬間、ランドセルをこの場所に持ってきたのだ。


千歳がマラソンコースを行く束の間、遊ぶように傷つけた後、ランドセルが見つかるように小川へと放り投げたのだろう。


ただ淡々とそれを見た。

あいつらはただ、無邪気で、残酷で。


千歳は、一人、靴と靴下を脱ぎ、小川のせせらぎに足を浸しながら、ランドセルを拾った。


これからどうしよう。

こんなボロボロのランドセルと教科書たちを下げて歩けば、あいつらの思い通りだ。

みじめなマリオネットだと大声で叫びながら歩いているのと同じだ。


魔女狩りの標的だなんて、知られたくない。誰にも。

みじめなんかじゃない。

みんなに嫌われた孤独な子じゃない。

千歳は、そう強く願うように思った。

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