第94話

「そういえばさぁ、弟、三年生なんだけどね。これ、実は三年の学級委員長の子が家に持ってくるはずだったんだよ。その子がムカつくの」

「ムカつくって何で」

「言いぐさが上から目線で嫌なの。弟に直接会いたいだって、元気なのか見てみたいだって言うんだよ。本当は自分が持って行きたかったって。それに、早く元気になれますようにだって。いい子ぶって、ムカつく」


二人の間に沈黙が流れた。千歳には、どうしてムカつくのか分からなかった。


そして、和菜の吐き捨てるような言い方が、千歳にはショックだった。


そんな風に誰かのことをムカつくと言って敵意を見せる和菜が。


和菜ちゃんはもっといい子だと思っていた。


この子もいつか、自分をムカつくと言い出すのではないか。


千歳の心に生まれた和菜へのほんの少しの幻滅が、千歳の心を侵食していく。



わたしの居場所、どこにもない。


学校には、もう、行きたくない。

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