第88話

そこは、和菜の父親の死んだ場所だ。

トンネル工事の時だったのか、橋の支柱を造っていた時だったのか、千歳は詳しいことは知らない。


話しに聞いたところによると、和菜の父親は、この道を造る作業員で作業の最中に突発的な事故により命を落としたらしい。

それは、前触れもなく、予兆もない突然の死だった。


若すぎる父親の死が、この地区では瞬く間に広まった。

それは、小学校のあの教室でも同じこと。

そして、早くに父親を亡くした異質な存在の和菜は、ウジの湧いた小さな箱で一人立つ、あの子となる。


魔女狩りが始まったのだ。


和菜は、それでなくとも、魔女狩りに遭うだけの資質を持っていた。


弟が病弱で、川向うにある市立病院に入退院を繰り返しており、母親は弟に付きっ切りでいつ働いているのか分からず、街の駅前の通りのパブでホステスをしているとか、そんな根も葉もない噂が立っていた。

それでも和菜は気丈に振る舞い、そんな噂を持前の明るい性格で受け流した。


だが、その明るい性格が引き金となった。

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