第89話

何が妬ましいのか、あいつらは探していたようだ。

少しでも気に入らなければ、何もかもが気に入らない。


ゲームをしている。エンドレスのゲームを。


和菜は魔女として担ぎ上げられたのだ。


そして、かつての千歳は、あいつらと同じ顔で、彼女をあざ笑っていた。



「わたし、なんか、山にぽっかり灰色の道ができちゃうと、悲しくなっちゃうな」

和菜は、ふと呟いた。


はっとした千歳は、彼女が何を言っているのかを考える。きっと、あの灰色の道は、彼女の父親を奪った敵なのだろう。

「そうなんだ」

千歳はそういうほかに言葉が見つからなかった。

時代はきっとわたし達を置いていくだろう。

新しく造られる道は、恐ろしくも心を躍らせる幻を見せる道祖神と馬頭観音を壊す。


そして、新しい道は、人の命を奪った上に建つのだろう。

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