第73話

千歳はそう聞きながら、目の前に見えているものが、テレビ画面の中を覗き込んでいるような感覚に思えた。


これは自分の視線ではない。

自分は、もっと違った場所でこれを見ているだけだ。

だから、これについて何かを思うことはない。


ただ、これを見せられたその人は、傷つき、それを見せたあいつは、喜んでいるのだろうと、それだけ思うのだ。


感情が死んでいく。


「ありがとう」


その言葉を選ぼうとした。

こんなに綺麗にしてくれてありがとう。わたしの自画像変だったでしょう。

これは人間じゃない。綺麗にしてくれてありがとう。人間じゃないわたしの、それは、正しい姿なのでしょう。


みんなに見えている本当の姿なのでしょう。


直してくれたんだね。人間だと思っていたわたしに現実を教えてくれてありがとう。アリガトウ。

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