第72話

見えてくる。

こいつら本当は、みんなマリオネットだ。顔には仮面、フェルトで覆われた体、そのフェルトの中には、綿が詰まっている。

四肢には糸がつけられていて、誰かがそれを操っている。

いったい誰が。


「千歳ちゃん見て」


そう言ったのは瑠奈だった。

そして、例に漏れず、瑠奈も同じ仮面をつけていた。

こいつではないのだ。

千歳をあざ笑っているのは確かだが、こいつにも同じ操られている証拠である糸がついている。


思考する千歳なんてお構いなしに、瑠奈は、千歳に見せた。


変わり果てたおどろおどろしい千歳の自画像を。

それは、奇抜な絵だった。気持ち悪くなるような沢山の色で埋め尽くされていた。

千歳が描いた当時の原型を留めていなかった。

作られた千歳。人造人間の千歳。これが、試験管ベイビーの本当の姿。


「どうしたのこれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る