第39話

何人もの死体が集まっている、それをわたしと呼んでいいものなのか。

腐ったその体達。


その人間たちは四肢が欠けている者たちが多かった。

ただ汚物のように排出されただけの人間。

そんな過去を彷彿とさせた。これがわたし。わたしたち。



悲しみから流れる涙は、腐った血のどす黒い色をしている。もう、気付いている。もう、死んでしまって久しいことを。


おぞましい。



場面は代わり、真っ白な世界へとその姿を変えた。

これは、死の世界。


誰かがわたしを呼んでいる。

「千歳。千歳。千歳」



わたしの子。

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