ノーバディーズホーム
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第38話
マリオネットシアター 第四章 ノーバディーズホーム
死の臭いがする。
鼻をつく汚物の臭い。これは、アンモニアの臭いだ。
何者かが死肉を喰らっている。座敷の仏壇に置かれた、かつて人間だった組織を貪っている。
視線が、焼かれた骨を映している。これは、亡くなった祖母の骨だ。
まな板の上で横たわっている死んだ魚のいやらしい視線はわたしのもの。
夕日が映し出す、死んでいく世界の色と同じ、濃い藍色の瞳はわたしのもの。
静かにざわざわと蠢きながら、死物を喰らいながら生きている人間。
それは、わたしだ。
なんて醜く救いのない罪人だろう。
これまで何人の人を喰らってきた。数えきれないほどの死肉の集まりをその体としていた。
わたしは何者。
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