第37話

何も考えず、和菜と話していると楽しかった。

さっき失ったような気がする普通が、幸せな自分が、取り戻せたような気がした。


自分は可哀そうな生き物じゃないと思えた。そう、思うことにした。



「わたし、これから、一人でいること多くなりそうだよ」

「大丈夫だよ。わたしが千歳ちゃんと一緒にいるから」


手をつないだ気がした。

保育園の頃のように、仲よく手をつないで帰っているような幻を見ていた。


実際には、手なんてつないではいなかったが。

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