第34話

「千歳ちゃん、今日はひとりなの」


薄笑いを浮かべて、瑠奈が言った。

今日一日、授業中も休み時間も千歳は独りだった。


瑠奈は言いたいのだ。

独りなの、と。


みじめだとその瞳が笑いながら言っている。

千歳は瑠奈の本心に気付きながら、微笑む。


「今日は、和菜ちゃんと帰るよ」


そう言い、勝気な顔を覗かせた千歳に瑠奈は、つまらなそうな表情をして何も言わず、明美と小枝のいる方へ行った。


「お待たせ、千歳ちゃん。人形劇クラブ終わったよ。一緒に帰ろう」

「うん」

千歳と和菜は、机の上のランドセルを背負い、教室を出て、昇降口へと向かった。


教室の瑠奈と明美と小枝は、それを面白くないといった雰囲気で見ていた。

「あいつ、明日無視ね」

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