第31話
きっと、笑うのだろう。
自分のことは守るけど、人は攻撃するものだと。
この子も他のやつらと同じ。可哀そうで、みじめで、弱い千歳を心の中では見下してあざ笑うのだ。
だから、言えるわけない。
言ったら、あいつらの前で処刑される。
「まぁいいよ。もうすぐ朝の休み時間も終わりだし、教室戻ろう」
和菜は、そう言って千歳の背中をポンっとたたいた。
教室に向かって歩こうとする和菜をよそに、千歳は自分の足が、教室に戻ることを拒んでいるのをどうしようかと思っていた。
「わたし、教室には・・・」
戻りたくない。
その言葉が出る寸前に、和菜がニコリと笑って口走った。
「帰り、一緒に帰ろうよ」
なぜ、ここまできたのか。ここじゃなきゃいけなかったのか。
それは、千歳が和菜に出会うためだったのかもしれない。
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