第25話

「千歳さんって、先生がこの間言っていた試験管ベイビーなんだよね」


目の前に出てきたのは、同じクラスの斉藤君だ。

もう、ずっと話なんてしたこともない男の子。

男子と話すことがなくなったのは、いつからだろう。

もう、久しく顔も見合わせたこともなかった。



「ねぇ、千歳さん。ぼーっと突っ立ってないで、答えてよ」


「あ・・・」


「なにが、あ・・・なんだか。僕、試験管ベイビーだって聞いたよ。先生に」


「先生に聞いたの」


「うん」


「そうなんだ。・・・そうだよ。わたし、この前、お母さんに試験管ベイビーだって言われた」

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