第21話

なんて醜く救いのない生き物なのかと思った。

その感情を抱いた自分こそが醜いとは知らずに。


アンモニアの臭い。

あれが、最後に出会うであろう死の香りなのだ。


そう、思った。


自分が出会うであろうことは知らなかった。


葬式の日は華やいだ香りで、あれを隠していた。

祖母の醜くひしゃげた体、皮膚、腐臭を。

彼らの醜くひしゃげた表情、腐った視線を。


「早めに死んでくれてよかった」

母の言葉。

晴れ渡る空、上空の風に流されるがまま漂う雲。太陽の光にまっすぐ照らされ、黒光りする墓石。


なんて、救いのない日だったのだろうか。みんな晴れやかな顔をしていた。


ああ、でも、こんなものなのか。

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