第16話

試験管ベイビーとは、お母さんのお腹の中で育まれるはずの命を人工的に作り出そうとした結果生まれた赤ちゃんのことです。


つまりは、試験管ベイビーは、人造人間なのです。


テレビアニメや漫画の出てくる人造人間とは、現実に存在するため違いますが、神様やコウノトリが運んでくるはずの赤ちゃんを人の手で勝手に作ってしまった可哀そうな存在なのですよ。



「難しいですか?」


「難しいです」


「そうですね。これは、小学生には難しい問題ですね。でも、先生は、そんな可哀そうな存在がこの世界にあることを知って、考えてほしいと思ってみんなと話し合おうと思ったのですよ」



なんで?

どうして?


千歳は、精神の作り出す静寂の中で、高鳴る鼓動を感じていた。

試験管ベイビー・・・

自分のことだ。

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