第17話

「可哀そうな存在」


それは果たして、自分のことなのだろうか。


千歳は、担任の先生の持ち出した話が信じることができなかった。

こんな風に、クラスで話し合うことになるなどとは予想していなかったのだ。


だって、先生は、「そんなことがどうしたの」と日記の返事に書いていたのに。


「この世界には、色んなことがあって、人を人の手で作り出そうとするような酷い事も行われているのです」


酷い事とは、自分がどうやって生まれたか、そのことなのだろうか。


「わたし、酷い事で生まれてきたのですか?」

「わたし、可哀そうな存在なのですか?」


今すぐに聞きたい気持ちになった。


しかし、今、この、沢山の目の前で、そのことを聞いてしまったら、きっと、魔女狩り

に遭ってしまうだろうことが想像できた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る