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第11話

ほら、いつものように、瑠奈がこちらにやってきた。


「ねぇ、千歳ちゃん、これどう思う」


瑠奈が手渡したのは、一枚の用紙。


「これは」


そこに描かれていたのは、一人の漫画風の女の子の絵。


「キモいでしょ」

「いや、別に・・・」

「そう、なんかこの絵変じゃないかな。小枝ちゃんがさ、この顔、意味もなくムカムカするって言っていたんだよ」


いつものことだ。

これは。

仲間のはずの誰かの陰口はいつものこと。これは、日常なのだ。

瑠奈は千歳に耳打ちする。

「明美ちゃんの描く絵ってキモいよね」


そんなことはないよ。とは言えない。

ただ、理由もなく人を貶めることは望んでいないが、力を込めて明美をかばうこともしなかった。

理由もなく。ただ、なんとなく、そうした。

自分を守るためだったのかもしれない。

また、少し聞いたことがあるのだ。明美が千歳の描く絵をキモいと言っていたと瑠奈から。

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