第60話

「てか、お前もおかしいぞ。実の親に敬語でしかも名字で呼んで。どうなってんだ、お前ら親子は」





「あれがわたし達親子の普通。おかしいかもしれないけど、いっつもあんなかんじ」






頭を抱えるレイリードを見つめながら、イヴはその横顔に父親の在りし日の姿を思い出していた。






いつかの日、父親と子供だったあの頃のことを。





今とは違かった二人の姿を。






あれは初めて罪を犯した日のことだった。






嫌がるイヴの背中に罪の証が刻まれた日。





無表情の父の顔。





あの頃の父親にレイリードは似ていた。






「ありがとう。わたしのために怒ってくれて」





イヴにふと言われた言葉に、レイリードは抱えていた頭を上げた。





「別に。お前のために怒ったわけじゃないし」





「そうなの?」






「まぁ、お前に関することで怒ったのは確かだけど」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る