第59話

「イヴァンナ。もう行くぞ。こんなところ、虫唾が走る!」




レイリードはそう言うと、イヴの手をとり握り締めると部屋を勢いよく飛び出した。






「な、なんで急に!」





「お前の父親どうなってんだ。おかしいんじゃないのか?」






「いや、あの人はいつもあんな感じだから・・・」





「でも、おかしいだろ!実の娘にあんな態度どうなんだ!」




「わかった、わかったから。いったん止まろう」






エントランス付近に辿り着くと、二人は息を切らして立ち止った。




「はぁっはぁっ。初めてだね」


イヴが口を開く。


「何が?はぁっはぁっ」


レイリードが答える。



「初めてわたしのことイヴァンナって名前で呼んでくれた。いつもお前とかなのに」



レイリードはハっとした。

こんな奴・・・と思っていた人間に感情移入していたことに今、気付いたのだ。




「別にどうしたこともないだろう。名前で呼ぶくらい」




「まぁ、そうだけどさ」


イヴは軽く笑った。

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