第14話
彼は疲れ果て、すぐ寝てしまった。
食べかけのご飯を、どうするのか聞きたかったけど、寝てる時は機嫌が悪いので、そっとしておいた。
「あっそうだ、洗濯してたんだぁ」
私は洗面所に行き、洗濯機から洗濯物を取り出した。
「あれ?」
乾燥まで終わった、ホカホカの洗濯物から、パラパラとカスがこぼれ落ちた。
「なんじゃこれ?」
床に落ちたカスは、植物の破片だった。
「お茶の葉かな?」
洗濯機の中にも細かいカスがチラホラ付着してしまい、少し変な匂いもする。
服に付いたカスをはらいながら、洗濯物を確かめると、破れた小さな袋が2つ出てきた。
ポケットの中に入っていたのを確認せず、私は洗濯をしてしまったみたいだ。
「満、起きて――大変――洗濯機の中がヤバい」
私は、洗濯機の変な匂いが心配で、慌てて満を起こした。
「なんだよ、眠いんだよ」
案の定、彼は不機嫌になり、私をつき飛ばした。
私は頭にきて、
「洗濯機が大変なんだってばぁ」
と言い、彼の身体を揺らし、無理やり起こそうとした。
すると彼は、むっくと身体を起こし、私を睨んだ。
その目は瞳孔が大きく開き、興奮したニワトリと同じ目をしていた。
「うっせんだよ」
彼は大きな声をあげ、私の胸ぐらを掴み、左右に揺らした。
その衝撃で、ブラウスのボタンがパツンとほつれ落ちた。
その後は、髪の毛を引っ張られ、身体を投げ飛ばされた。私は床に倒れ、床には髪の毛がバラバラと大量に落ちた。
「洗濯、洗濯、うるせえんだよ」
彼はブツブツ言いながら、洗面所に歩いて行った。
私はその隙を見て、スニーカーも履かずに、逃げるように彼のアパートを出た。
殺されるかと思った。
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