第8話

私達は、恋バナを一旦止め、テーブルに置かれたスパゲティを眺めた。



白いスープで、中には煮込まれた玉ねぎや、マッシュルーム、あさりが顔を出し、食欲をそそる、すごくいい匂いがした。



私の口の中は、よだれでいっぱいだった。



「それでは、いただきましょうか」



直美がそう言い、食べ始めた。



私も、「いただきます」



と手を合わせ、あさりスパゲティを食した。



「うっ、、、うまい」



フォークに巻いたパスタに、クリーミーなスープが絡まり、口の中に一緒に入ってくる。



あさりの出汁と、玉ねぎの甘味、マッシュルームの風味が、口いっぱい広がり、手が止まらない。



「ほんと、美味すぎる。私、他の料理も試したい……弥生、一緒に食べてぇ」



直美は、次いつチロルに来られるか、分からないからと言い、サラダスパゲティまで注文した。





「えっ、この量、無理でしょ」



あさりスパゲティを食べ終えた頃、テーブルに運ばれた、野菜たっぷりのサラダスパゲティを見て私は言った。



……しかし、ひとくち口にした瞬間、



「……めっちゃ美味しい」



と言葉が漏れた。



私は、サラダスパゲティを小皿に取り分け、パクパク食べ続けた。



赤いドレッシングは、優しい酸っぱさで、プチトマトや、レタス、コーンが彩りよく飾られ、



バーナで焦げ目をつけたブロッコリーが、香ばくて、甘かった。




私と直美は、食べる事に夢中になり、



恋バナの続きは、語られる事なく休憩は終わった。




でも……がっかりはしなかった。



それぐらい美味しくて、楽しかった。

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