第7話
中に入ると、ドアにぶら下がっているベルが、カランコロンと鳴って、
足を引きずった、バイトのおじさんが声をかけてくれた。
「お好きな席へどうぞ!」
辺りを見渡すと、若い女性客が多く、みんな笑顔で美味しそうに料理を食べている。
私達は、窓側の席に着くと、さっきのおじさんを呼び、
メニューも見ずに、1番人気の『あさりスパゲティ』を注文した。
少しでも沢山の、恋バナをしたかったからだ。
そして直美は、すぐさま、身を乗り出し、私の気になっている、彼の話を聞いてきた。
「ねぇ、彼はどんな人?」
「
「へぇ〜写真ないの?」
「あるよ。これ」
私はスマホの画像を見せた。
「ほんと、イケメン。ほり深くて、ハーフみたい」
直美に褒められ、私がニヤニヤしていると、
マスターが『あさりスパゲティ』をテーブルの上に置いた。
目を合わせず、ボソボソと何か言い、すぐ去って行った。
たぶん、『お待たせいたしました』と言ったのだろうが、そのか細い声は、周りの音にかき消された。
そんな、おどおどしているマスターを見て、直美が言った。
「あの人が例の?」
私がニャッと笑い、頷くと、
「えっ――!あんなおとなしい、おじさんが?強いの?」
と、ゲラゲラ笑い出した。
私は、聞こえるんじゃないかと焦り、
「……今は話しちゃダメ」
と、小声で直美を注意をした。
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