第50話
プレゼントを抱え彼の元に行くと、彼は、私がテーブルの下に置いていたCDを手に取り、じっと見つめていた。
「こ、これ、DVD?」
「それはCD。音楽だよ。最近その歌好きで聴いてた。最後の曲『僕は君のSuper Hero』の歌詞が好き」
「ぼ、ぼ、僕、歌聴かないけど、この、しゃ、写真が綺麗で好き」
彼は、アルバムのジャケットを指差して話した。
「じゃぁ、それもあげる」
私は、CDと、準備していたクリスマスプレゼントを、彼に渡した。
彼は、クリスマスプレゼントのリボンをほどき、袋の中を見て、驚いた顔をした。
「あ、ありがとう……でも、僕のプレゼントひとつだけ……これ、いっぱい入ってる。ごめんなさい」
「謝らないでよ。侑くんのプレゼントの方が、世界にひとつだけだから、価値があるんだよ」
「あ、ありがとう。大切に、つ、使うね」
彼は、ひとつひとつ袋から取り出して、パッケージを眺めては匂いを嗅いだり、軽く振ってカタカタと音をたてたり、嬉しそうに笑った。
そんな無邪気な彼の姿が、私の心を寂しくさせ、私は無意識に彼を抱きしめていた。
この笑顔も、この温もりも今日で最後……私の目からは、涙が溢れ出た。
「沙也加さん、ど、どうしたの?泣いてるの?」
彼は私の顔を覗き込み、私の涙を見て、頬に手を添えた。
「ちょっと……お別れが寂しくて……」
「じ、じゃあ、僕……泊まる……沙也加さんが寂しくないように、沙也加さんのそばにいる」
彼は私の背中に腕を回し、私をギュッと抱き寄せた。
「ありがとう。でも大丈夫。大丈夫だから……また今度ね」
「うん。じゃあ今度、き、着替え持ってくる。は、は、歯磨き頑張る。お風呂にも入る……野菜も食べる。か、漢字教えて」
「……侑くんは素直でいい子だね……大好きだよ」
「ぼ、僕も、沙也加さんが、大好き」
私は彼の腕をほどき、涙を拭いた。
「早く帰らないと、お父さん達、帰って来たゃうよ」
「わ、分かった。じゃあ、またね」
彼はリュックに、クリスマスプレゼントをしまうと、バタバタと玄関を出た。
外に出ると、まだ風が強く、
私は彼に、マフラーを巻いてあげた。
「あ、あ、後で、マフラー、返しに来るね」
彼は何度も振り向き、私に手を振った。
私も、彼の幸せを祈りながら、手を振り返した。
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