第44話
息子の死で、夫も悲しみに暮れていた。
いじめとか、掲示板の中の人とか、自殺に導いた者はいても、
死を選んだのは息子であって……
行き場のない悲しみと悔しさを、夫は私にぶつけた。
「なぜ、変化に気がつかない」「なぜ、会話をしなかった」「なぜ、パソコンを買い与えた」
夫の暴言が、私の心を更に弱らせた。
夫には好きな人がいて、一度その人との浮気がバレたことがあった。
その時私は、離婚を申し出たのだが、子供と離れたくないと言い、夫は彼女と別れた。
その、私達夫婦をつなぎ止めていた息子は、もういなくて、
必然的に、夫は彼女に癒しを求めた。
そして夫は、私を捨てた。
息子を失い、夫に見放され、私はひとりぼっちになった。
楽しい思い出の染みついたこの町が、嫌いになった。
私の過去も、息子の存在も、なにも知らない場所を求め、私はこの町に引っ越した。
そして、友達を作ることを止めた。
自分の過去を知られたく無いから。
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