第36話

これでよかったのだろうか……



私は彼の後ろ姿を見つめながら、ずっと考えていた。




「沙也加さん……何をボーっと考えているんですか?」




後ろから声がして振り向くと、そこには、未来ちゃんの姿があった。




「あっ、未来ちゃん、久しぶり……」



「久しぶりです。沙也加さん、家、この辺でしたっけ?」



「えぇ、まぁ……」



「未来ちゃんはどうしてここに?」



「ここの近くで、撮影会があったんです。今、駅に向かう途中で……じゃぁ、急ぐんで」



「そっかぁ。じゃぁ、気を付けて帰ってね」




未来ちゃんは、私に満面の笑みを見せ、手を振り、帰って行った。



あの時の話をしたいと思ったが、蟠りわだかまもなさそうだし、私は安心した。



それと、彼と一緒の所を見られなくて、良かったと胸を撫で下ろした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る