第23話
彼はドアを開け外に出たので、私も後を追って外に出たのだが、
彼は走って行ってしまった。
今日は最後だし、きちんとお礼を伝えてお別れしたかったのだが、
何か用事でも思い出し、急いで帰ったのだと思うことにし、私はアパートに戻った。
テーブルの上には、空になった皿があって、それを片付けていたら、まるでお祭りの後のような寂しさを感じた。
楽しかったなぁ……
――ピンポーン
その時インターホンが鳴った。
「さ、さ、沙也加さん…… 開けて」
ドアの向こうから、侑くんの声が聞こえる。
私が急いでドアを開けると、彼は、目をキョロキョロさせ、挙動不審だ。
「あ、明日は、もう、来ちゃだめ?もう、終わり?絶対?だめ?」
「えっ?」
「ま、また、ハンバーグ食べたい」
私の事を、母親みたいに慕ってくれているのは嬉しかったが、
理由も無く、2人で会うのは良くないと思い、私は彼を脅した。
「……これ以上続けたら、お父さんにバレて、私も、おばあちゃんも怒られるよ」
「で、で、でも、また、会いたい。ときどきでいいから、会いたい」
彼は潤んだ目で私を見つめ、何度も頭を下げた。
「どうしてそんなに、私なんかと会いたいの?」
呆れ顔で彼に質問すると、彼は頭をひねり、上を向き、下を向き、そして小さな声で話した。
「分かんない……でも、安心する……それに、と、友達だから……」
『友達』……その言葉が嬉しかった。
だから、許してしまった。
「そっかぁ。じゃあ、ときどきならいいよ」
無邪気で素直な彼は、目をキラキラさせ、私の両手を掴んでジャンプをした。
彼の心はまだ子供。
それに私たちは、友達。
たまになら問題はない。
そう思っていた。
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