P.80
「お金はみんなお金だよ。綺麗も汚いもない。
それに、この世界に入った時点で綺麗な世界は存在しない。私もマナもあの人たちも。綺麗な世界の人達からしたらみんな同じようにしかみられない。
ただ、お金だけが幸せじゃないと思う。お金があればできることはいっぱいある。お金がないとできないこともいっぱいある。
でも、私は、お金がなくても幸せだった。人を幸せにするのは、人なんじゃないかな?」
「そんなの綺麗ごとよ!結局お金がないと生きていけないんだから。
うちはすごく貧乏だった。服はおさがりばっかり。いつも同じ服ばっかり着てた。
そのせいで、学校ではいじめられた。中学生になっても『貧乏人、きもい、汚い、ブス』って、言われ続けた。期限切れの弁当を食べさせられたこともあった。貧乏だから。ブスだから。」
「それは違うよ!貧乏のせいじゃない。顔のせいじゃない。
悪いのはいじめたやつらでしょ?人を幸せにするのも人。人を不幸にするのも人。人のせい」
「あんたに何がわかるのよ!」
「わかるよ。私はそれを知ってるから。私が言えることじゃないのもわかってる。
だけど、マナ。もっと自分を大切にして?今のマナは全然キレイじゃないよ。お金あるはずなのに、全然幸せそうに見えない。
幸せになって。マナには、幸せになって欲しい」
「……」
「じゃぁ、私は行くね」
バタン。
痛い。心がすごく痛い。
マナに言ったこと全部が痛かった。
切ってしまえばいいのかもしれない。
本当は自分で自分を苦しめてることもわかってる。
でも、一度動き出したら、もう後には戻れない。
止まることすらできないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます