「あったかいのコーヒーしかなかったんだけど……って、何してんの?」



タイミングよく入ってきた男を見て、思わず布団を胸まで引っ張った。



それを見て慌てて弁解する男。


よく知らないけど、あからさまな下心は見えない。


というか、むしろいい人そうだ。



でも、それならどうして私はここにいるのだろう?



いや、そんなことは、


「……別に、どうでもいい」


「え?」



驚いた顔をする男を尻目に、キョロキョロとあたりを見渡した。




「ん?どうしたの?」


「……今、何時?」


「え?んーと、深夜2時、ぐらいかな」


「そう。……今日、ここに泊まっていっても、いい?」



「……いいけど……条件がある」


「……うん。なんでも、する」




なんだっていい。覚悟はもうとっくに決めている。



余計な感情は捨てたんだ。


生きるためならなんだってする。


死ぬ気になればなんだってできるから。

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