病院に連れて行くべきだろうか?
後部座席に横たわる少女は、すやすやと眠っている。
意識がないわけじゃないから、病院まで行かなくても大丈夫だろうか。
本来だったら病院に連れて行くところだけど、俺は躊躇っていた。
それは、病院に行くことが少女にとって良くないことかもしれないから。
事情は何もわからないけれど、毎日あの場所にいるということは、家出してきたということが容易に想像がつく。
濃い化粧をしたところで、その寝顔はまだ幼さが残る。
高校生か、もしかすると中学生くらい。どっちにしても未成年なことは確かだろう。
そんな女の子を車に乗せていること自体もうすでに問題だとは思うけど、だからといって警察に届けるわけにもいかない。
どんな事情があったのか知らないけど、もし戻りたくない事情があるのだとすれば、公の場はあんまりよくないかもしれない。
「どっちにしてもこのまま濡れたままにしておくわけにもいかないし、一旦帰るか。車、会社のだし」
そうひとりつぶやいて、車を走らせた。
それから、少女を自分の車に移し、退社の時間にはなっていたので、会社に車を返し、報告書は家でやることにしてすぐにオフィスにいた人たちに挨拶をして会社を出た。
自分の車に乗りこみ、後部座席に横たわる少女を見て、
「なんかやばいことしてる気がするわー……」
その気はないものの、未成年の少女を車に乗せていることに罪悪感を覚える。
が、だからといってどうすることもできず、深い溜息をつくと、車を走らせた――…
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