とりつかれたように毎日その場所へ行き、誰にも声をかけられることなく、ただただ私はそこにいた。





そんな日が続いたある日のことだった――…




私は、そろそろ限界を感じていた。



体を十分に休めることもできない、満足に食事をとることもできない。



そして、見えない先のこと。




誰からも声をかけられない孤独な自分。



モノクロの世界にいる自分とモノクロの空が似ていると思った。




そのモノクロの空からポツリポツリと雨が降りだした。



私の目からは涙は出ない。



私の変わりに泣いてくれているのだろうか。


そんなことを思いながら、空を見上げ、降りだした雨を見つめていた。




だんだんと強くなる雨。



周りにいた人は、逃げるようにその場から足早に去っていった。




目の前を通る人たちは、みんな傘を差している。



私は当然傘なんて持っていない。




だけど、その場から動く気にもなれなくて、ただただ降りしきる雨の中にいた。





もう、いいかな…。


この世界に私のいる場所がないなら、もう、いいかな。



なんか、何もかもがどうでもよくなった。



私は、何のために生きてるんだろう?


あの時、死んじゃえばよかった、かな…。


そしたらもっと楽だったかもしれないね。




この雨に溶けてしまえばいいのに。


溶けて、消えてしまえばいいのに。




ザーザーと降りしきる雨。





ボタッ、ボタッ――…



「……え?」




遮られた雨。



モノクロの世界に、焦げ茶色の革靴と藍色の傘だけが色づいて見えた。

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