場所変えよう。



どうせならお金を持ってそうなおじさんがいいと思った。


誰でもいいから今日の寝床を提供してくれる人を見つけよう。



そのためのリスクは当に諦めた。



余計な感情は捨てたのだ。生きるために。


死ぬ気になればなんだってできる、から。




それでも話しかけられない。



年齢なんてわからないはず。


顔なんて、派手目の化粧をしてしまえばみんな同じ顔なのに。



なのに、なんで?



ここに来ても、私は嫌われるのだろうか。


私は世界中から嫌われているのだろうか。




だとしたら、この世界に私の居場所なんてないじゃんか。





そう思った途端、世界が真っ暗になった気がした。



行き交う人も街もネオンの明かりもすべてがモノクロで、自分だけが取り残されてしまったよう。




いてもたってもいられなくて、その場を逃げるように後にした――…




行く場所なんてない。なにもない。



なのに、その場所を求めるかのように、私はふらふらと街をただただ彷徨った。




歩いて歩いて歩いてたどり着いた場所は、小さな公園。



身を隠せそうな遊具の中に入ると、体を丸めてこの日は眠りについた。

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