あの日、彼女は消えてしまった。



あいつらのせいで、消えてしまった。




今でもぼんやりと、でも鮮明に思い出される。



何度嫌だと叫んでも。何度やめてと願っても。


思い出したくないと想えば想うほど、それは色濃く残る。




頭の中で、白いものが堕ちていく。


頭の中は真っ白になる。




そこから落ちたのは…


そこから落ちたのは…?





《アリス…》


記憶の中で誰かが呼んだ。



知らない声。だけど、確かに誰かがその名を呼んだ。




私は止められなかった。



止めようとしたのに。間に合わなかった。



白い影は、暗闇へと消えていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る