いじめられた方は、自分が悪いと自分を責める。


いじめた方は、いじめられる方が悪いと相手を責める。




学校ではいじめはいけないことだと教えられてくるはずなのに。



いじめられっ子に味方はいない。


自分自身も自分を責める敵だから。



みんながみんなお前のせいだと責め立てる。


みんながみんな心を容赦なく傷つける。



相手も自分も、自分を攻撃する。




ボロボロになったその人は、生と死の狭間に立たされる。


そこでなんとか生き延びても、後遺症は残る。


でっかいでっかい傷は、何年経っても古傷として残るものだ。




でも、いじめた側はさっさと忘れてしまう。



何年か後には、そんなこともあったねと、思い出話のように語るんだ。


それを武勇伝のように語る奴もいる。


罪の意識の欠片もなく。



だって悪いのはいじめられる方だから。



それがこの世の中。今の世の中だ。




メディアだっていじめで自殺した人が出たときだけ、ニュースとして取り上げる。



日常茶飯事あるいじめは取り上げられない。


メディアは話題性のあるネタしか扱わないから。



それでもニュースになれば、みんなが騒ぎ出す。


流行に遅れるなというように。



ネット世界は無法地帯のように個人情報も流出していく。


知らない誰かが広めていく。



見えない誰かが、自分とは関係のない誰かを攻撃する。


正義の名の下に。偽りの正義感を振りかざす。



一瞬だけ。


一瞬だけ流行にのった気になっているやつらが、


一瞬だけ騒ぎ立て、数日後にはブームが去ったと興味をなくす。



そうして結局当事者だけが傷を負い、中途半端に関わった人は罪悪感の欠片もなく、記憶から忘れ去られる。



あーそんなこともあったよねって。



傷を負ったものだけが、一生残る記憶を刻まれる。



それがこの世の中だ。

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