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悪夢のはじまりは、いつだっただろうか?
莉央がこっちに入って来たのが5月の終わり頃。
それから、彼女がのけ者になることは徐々に増えていった。
そして、いつの間にか澤田朱里と青野千夏のペアが加わり、人数が増えてさらに彼女は孤独になっていった。
それは、きっとその延長線上なのだろう。
いつからとか、きっかけとかがあったわけじゃない。
はじまりは、おふざけだった。
たとえば、スカートをめくられたり、ジャージのズボンを下ろされたり、ちょっと物を隠されたりする程度。
彼女はすごく嫌だったけど、笑っておふざけにのっていた。
それも学校での付き合いだと。
でも、それは徐々にエスカレートしていった。
ズボンだけだったのが、普通に人がいるところでパンツまで脱がされそうになったり、制服を脱がされそうになったり、物を隠されたり、壊されたりした。
机の上と机の中までクレンザーまみれになっていたこともあった。
どんどんエスカレートするそれに我慢の限界になった彼女は、一度だけ相手をするのをやめたことがある。
おふざけには乗らず、無視を決め込んだのだ。
怒った素振りは見せたけど、キレたわけでも、文句を言ったわけでもない。
別に謝って欲しかったわけじゃない。
ただやり過ぎたなと思ってくれればよかった。
それなのに、謝ることはおろか、あの4人に反省の色はなかった。
それどころか、そんな彼女を置いて、4人はさっさと移動教室に向かった。
はぶられたのだ。
タイミングが悪かったんだ。
そう彼女は思った。
今じゃなかった。なんで今我慢できなかったんだろうと。
言ってしまえば、ただ仲間はずれにされただけ。
でも、彼女にとってその衝撃は大きいものだった。
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