第20話

ニコッと微笑まれて、笑みが溢れる。


やっぱり可愛い。


好き。


世界メイド選手権があったら間違いなくリリィが優勝だ。




「エマ様。今日のご飯は何だと思います?」


「んー、何だろう?お魚?」


「ぶーぶー。さっき料理長に教えて貰ったんですけどね、今日は…」




機嫌良くテキパキと手伝ってくれながら、リリィは今日のご飯は何だとか、新しい紅茶が入ってきたとか、自分の好きなお菓子はこれだとか色々と話し掛けてくる。



明るい声で話し掛けられてすっかり気分も上がり、私も私で弟の話をしたりした。



会話はとにかく弾む。



そして着替えが終わって少し経った頃。


それまで笑顔だったリリィは手を止めると顔を曇らせた。


言いたくないなぁと言いたげに背中を丸めて。





「エマ様」


「ん?」


「マリア様がいらっしゃってますが、どうされます?」




言いにくそうに、だけど聞かなきゃいけないと言いたげにリリィは強張った顔で私を見つめた。


マリア様…、侯爵様の想い人だ。


私によく似た本物。


いや、私が彼女に似ているのか。

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