第16話

何だか侯爵様の気持ちを考えたら居たたまれない気持ちになってしまった。


だって、ずっと好きだった人に振り向いて貰えないなんて切なすぎる。


根はそんなに悪い人じゃないのに。




「…リュカ」



だから重ねた体を抱き締めて耳元で侯爵様の名前を呼んだ。



これはそう。ちょっとしたサービスみたいなもの。


彼女によく似た顔で、彼女によく似た声で、彼女と同じ名前の呼び方をされたら、きっとよく想像出来て良いと思う。



完全なる代替え品だ。




「ん…、ごめん。我慢出来ない…」



抑えようとしたけど、抑えられなかったんだろう。


苦しそうな顔で激しくされた。


ちょっと腰が引ける。



熱が上がったところを見ると、言って正解だったし、言って不正解だったみたい。



盛り上がられれば盛り上がられるほど、体がキツイ。



心も。何だか少し痛んだ気がした。

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