第12話
◆
「いいね。可愛い。よく似合ってる」
「あ、ありがとうございます…」
「色も形も君に合ってるね。素材も触り心地も申し分ない。買って良かった」
最高の褒め言葉を、最高に美しい顔で、最高にドン引きさせながら言うのは、この人だけじゃないだろうか…。
優しいキスを浴びせられながら考える。
望まれた通り新しいドレスに着替えること数分。
当たり前のようにベッドに押し倒され、既に半分以上脱がされそうになっている。
本当に見て感想を言っているのか聞きたくなるような早業だ。
着るなり直ぐ。
着るよりも早く。
ここまで来ると最早脱がす為に着せたとしか思えない。
いいえ、間違いなくそう。
まぁ、こうなるのはちゃんと分かってた。
いつものパターンだから。
使用人達も分かりきった様子で「終わったら呼んで下さい」と言って出ていった。
これが私の仕事。大金への対価。
とはいえ、真っ昼間からドレスを捲られ、興奮した様子で足を撫で回され、ゴクリと喉を鳴らされながらストッキングを脱がされている、この状況。
なかなか受け入れ難い。
「旦那様…、そろそろお仕事に戻らないといけないのでは?」
「問題ない。今日は夕方まで空いてる」
「そうですか…」
僅かな希望を持って言った台詞はあっさりと打ち砕かれた。
今日は夜まで仕事だったはずなのに。
多分、新しいドレスが届いたと知って、わざと時間を空けたんだろうな…。
沢山あった仕事を急いで終わらせまくって。
夕方まで空いてるってことは、それまで付き合わなきゃイケなさそう。
別にいいけど、ちょっと心配。
体力が持つか。
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