第16話

「ア〜ル〜!!!」


「ごめんなさいユキごめんなさい怒らないで!ちゃんと殺してないよ!ちょっと気絶させただけ!」


「死ななきゃ大丈夫じゃないってついさっき今!言ったでしょうが〜!もう良いからさっさと帰りなさい!」


 アルは散々涙目で私に縋り付いてきたが、流石にこれは許せん。秋山君が何をした。


 ぐいぐいアルを階段の方に追いやって、私はひとまず秋山君から離れた。アルをここから遠ざけたらすぐに介抱しないと。


 秋山君を一旦階段の踊り場に放置したまま、私はその場を離れた。



 青色の光。

 摩訶不思議な光の粒がその場に浮遊している。


 二度三度その場で揺らいだのち……その光は突然下降した。


 すう、と階段の踊り場に転がる身体に吸い込まれて消えていく。


 光を吸い込んだ先の身体が、ゆっくりと起き上がった。


「ふぅん。魔王ってば随分ご執心なんだねぇ」


 まぶたがうっすらと開く。


 薄闇の中に瞬く光。

 先ほどの光の粒と同じ、鮮烈な青の瞳が輝いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る