第4話
「昨日見たら妹の花が消えてた」
「え、ほんとに?この花消えたりするんだ」
「みたいだぜ。他の奴らも気づいてないだけで消えたり増えたりしてるかも。で、妹になんかあったかって聞いたんだけどさ、怒って何も話してくんねーの。デリカシーないとか、察したんなら黙ってお菓子でもおごれとか。そもそも何があったか知らねーんだっつの」
「ええ?聞くだけでそれって、よっぽど重要なことがあったんだね。それが花の発生条件なのかなあ……」
「かもな。でも情報が少なすぎて推測すらできねえわ」
崎山がだるそうに唸って首を回す。こきこきと関節が鳴る音がした。
相変わらず屋上近くのこの階段は人通りが少なく、私たちは最近専らここで話している。一週間に一度ほどここで一緒にお昼を食べながら情報交換をしたり、些細な愚痴を言い合ったりしていた。何も進展はないながら、同じ苦労を分け合える相手がいると言うのは心強いものだった。
「あ、予鈴。そろそろ戻らなきゃ」
「もうそんな時間か。次何だっけ?」
「数A。課題出てたじゃん。やってきた?」
「げっ!なあ、花村~。見せてくれたりとか」
「はは。ファイトー」
「ぎゃー!薄情!鬼!花村!」
軽口を叩きながら二人で校舎を歩いていく。教室に二人で入ると何やら一瞬ざわめきが増したようだったが、直後に入ってきた先生の気配に押し流されてすぐに気にならなくなってしまった。
結局、崎山は案の定当てられてしどろもどろになっていた。仕方なく答えを書いた紙をそっと差し出してやるとこれ以上ないほど拝んできたので、ちょっと気分が良かった。
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