P.199

「コイツがクラ」


「あ、倉科寛太(クラシナカンタ)っす。クラって呼んでください!」



洸大が私に紹介すると、『クラ』と呼ばれた人は、ニッコリと笑顔を浮かべて私に自己紹介した。



「で、なんすか?」


「あ、下駄箱掃除してくれてありがとう」


「え?あー、俺は総長の指示に従っただけっすから」


「え?総長?」



まさかここで総長様が出てくると思わなかったから、思わず聞き返してしまった。



そして、隣の洸大に目を向ける。


てっきり洸大の指示かと思っていた。




「お前を守るように総長から言われてるからな」



私の視線に気づいた洸大は、笑ってそう答えた。



「あ、でも、別に総長からの指示だからやってるわけじゃないっすよ?!仲間守るのは当然っすから!」




‘仲間’――…





「…ありがとう」



それから他の人にもお礼を言った。


みんな『当たり前』だと言ってくれたけれど、私はそれを『当たり前』とは思えないし、ちゃんとお礼はしておきたかった。



その後も奥の部屋には行かず、みんなと一緒に過ごした。



やっぱり私にはわからない話しが多かったけれど、その場にいるのは嫌じゃなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る