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「ん?どうした?」
先に行ったはずの戸塚洸大が、こっちに向かって戻ってきていた。
ずっと立ち止まったままの私を不思議に思ったのだろう。
考え事をするとぼんやりと立ち止まる癖はなかなか抜けないらしい。
「バイク、怖かったのか?」
ニヤリと笑って言う戸塚洸大。
「ちょっと飛ばしすぎたか~」なんてニヤニヤ笑いながら言う戸塚洸大は、やっぱり飛ばしていたらしい。
それもわざと。
「別に平気。ちょっと考え事してただけ」
そう、私はいつものように表情も変えず淡々と返した。
「ちょっとは怖がれよな~。結構スピード出してみたのによぉ。あ、強がってんのか?」
「…強がってるように見える?」
「いーや、全然平気そうだな。なんだよ、ギュッと掴んでくるから、お前でも怖がるのかと思ったのによー」
「『しっかりつかまってろ』っていうから、そうしただけだけど?力加減は乗ったことないからわかんない。強かった?」
「フッ、ったく、ホント可愛げねぇなぁ」
そう言うと、またみんながいる方へ歩き出した。
今度は私もその後に続いて歩き出した。
「あ、南里さん。こんちわっす」
私に気づいた炎雷の面子がいつものように挨拶してくれた。
総長様たちがいなくても変わらず挨拶してくれる。
そんな彼らからは、さっき私が考えていたようなことは感じられない。
「お前もこっち来いよ」
いつもと同じように奥の部屋へと向かおうとしていた私に、先を歩いていた戸塚洸大が振り返ってそう言った。
「…いいよ、私は」
「奥の部屋行ったって1人じゃ暇だろ?」
「どうせ寝てるだけだから、いつもと変わらない」
「あ?学校で散々寝てるくせに、また寝んのか?ったく、どんだけ寝れば気が済むんだ。三年寝太郎か?」
「……」
「寝てばっかいねーでたまにはこっち来いよ」
そう言って、戸塚洸大は私の腕をつかみ、みんなの元へと歩き出した。
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