P.194
「…ありがとう」
バイクから降りてヘルメットを戸塚洸大に渡す。
「ん」
私からヘルメットを受け取ると適当にかけて、みんながいる方へ歩き出した。
私はその後ろ姿をぼんやりと見ながら、いつもとは違う空気を感じていた。
いつも、車から降りたとたんに向けられる視線。
次々と挨拶とかの言葉が投げかけられる。
けれど、今日はみんな個人個人好きなことをやっているまま、視線が集まることはない。
それは当然ここに総長様も雅人もいないから。
集まる視線もかけられる言葉も全部、私じゃなくて総長様と雅人に向けられたものだということは、重々承知している。
ただ、改めて彼らの凄さを感じた。
そんな彼らといつも一緒にいる私。
私はただ『いろ』と言われてるから一緒にいるだけ。
けれど、それは炎雷のみんなや炎雷に憧れている人からしたら、羨ましいこと。
それなのに、当たり前のように彼らの乗る車に乗って、限られた人しか入れない部屋に入って、当たり前のように彼らと一緒にいる私は、いったい何様なんだろう?
前に戸塚洸大に言われたことも納得できる。
ここにいるみんなも、本心ではそう思っているのだろうか?
……そう思われていても仕方がない。
私はどう思われていてもいいけれど、私が来るたび不快な思いをさせているのだとしたら、それは申し訳なく思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます