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……あの歩道橋に行かなくなってどのくらいの日が経ったのだろう。
左手首をさらせばくっきりと残る痛々しい傷跡。
苦しくなる胸に、キュッと下唇を噛む。
私はひとりでいい。
ひとりでいいのに。
この時間が嫌いだった。
ひとりになりたいけど、ひとりになりたくない。
矛盾だらけの心。
何も考えたくない。何も思い出したくない。
逃げ出したい感情に、衝動的に外に飛び出そうとして、タイミング良くブーブーと机の上で震える携帯電話に、足を止めた。
青く小さく光るランプ――それは、メールの受信を知らせるもの。
携帯電話を開き、メールを見れば、受信BOXには‘戸塚洸大’の文字。
『おやすみ~』
本文にあるのは、ただそれだけ。
いつの間にか登録されていた名前。
本当に彼らにはプライバシーというものがない。
私はそのままベッドに横たわった。
これも護衛の役割なのだろうか?
毎日、お昼は戸塚洸大に食べさせられ、夜は総長様に食べさせられている。
二人とも残しても何も言わないけれど、食べるまではしつこい。
これも‘護る'と約束したから?
だとしたら、彼らは私を‘何から’護ろうとしているのだろうか――…
つきっきりで見張るのは、私が変なことをしないため?
それは、炎雷のため?
だったら見張るだけでいいじゃないか。
必要以上に関わらなくたっていい。
彼らは、誰のために、何のために、何から、何を、護ろうとしているのだろうか――…
【Guard】 【Restraint】
―護衛― ―束縛―
それは、監視のための拘束か、
保護のための制限か
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