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それから、放課後まで戸塚洸大は私から離れず、車が見える位置まで来ると「またな」と言ってその場で立ち止まった。



戸塚洸大が一緒にあの車に乗ることはない。



どうせ同じところに行くんだから一緒にくればいいのに、とは思うけど、彼らには私の知らない彼らのルールがあるのだろうから、口を挟むことはしない。


私が口出しすること――できることじゃない。



「またな」と言った戸塚洸大は、そこから去ろうとせず、ニカッと笑ってこっちを見ているから、仕方なく私はさっさと車へと向かう。




車に乗り込めば、雅人が楽しそうに笑って「おかえり」と言い、隣の総長様は無表情で見下ろしてくる。



そして、車は真っ直ぐ溜まり場へと向かう。



それから、奥の部屋で寝て過ごし、夜になったら家に帰る。



そんな生活を繰り返している。




そんなんだから、私がひとりになる時間はほとんどない。



家に帰ってから、やっとひとりになれるけれど、そこで外に出て誰かに会ってしまったらまずいから、大人しく家にいるしかない。

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