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「おかえり、南里ちゃん」
疲れきっている私に対し、雅人はご機嫌そうだ。
いつもに増して楽しそうに見える。
「どうだった?今日」
「まぁ、よくはないですね」
「洸大となんかあった?」
「あのテンションにはついていけない」
「あー、でも、そこがアイツのいいところでもあるんだけどな。無理?」
「別にそういうわけじゃないですけど」
いいか悪いかと聞かれれば、よくはない。
私が『無理』と言えば、1人にしてくれるならそう言うけれど、きっとそうはならないだろうから、それは言わない。
他の人になったところで結果は同じこと。
私にとっては、誰かといることが『無理』なのだから。
別段、『彼』が無理なわけじゃない。
むしろ変な気を使わなくていい分、まだいいかもしれない。
つきっきりなのは疲れるし、あのテンションにもうんざりだけど、気を使われてる感はないから、私も変な気を使わずに済む。
ただわからないだけ。
溜まり場で初めて会った時と真逆の態度に、未だなお違和感を覚える。
私の護衛になってしまったから、わざとああして親しみやすいようにしているのだろうか。
仲間だと思ってないやつに『仲間』と言って、嫌いなやつにわざわざ話しかけて?
任務遂行の為だと割り切ればできるのだろうか。
だけど、それにも違和感を覚える。
溜まり場で見た姿は本物に違いない。
でも、今日見た姿が偽りかというと、根拠はないけど違う気がする。
裏と表じゃない。
どっちかが真で、どっちかが偽というわけじゃない。
どちらの姿も戸塚洸大な気がする。
まぁ、あくまで‘気がする'だけだけれど。
私はまだ彼を知らない。
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