P.175

その後、戸塚洸大はもうしつこいぐらい私につきっきりだった。



私が立てば、戸塚洸大も一緒に立つ。




「どこ行くんだよ?」



そのたび聞かれるこの質問。




「トイレ」



私はそれだけ言うと、さっさと教室を出た。




が、



「ねぇ、なんでついてくんの?トイレくらい1人で行けるんだけど」



「俺もトイレだ」




ついには、トイレにまでついてくる始末。




「男と女でツレションなんて気持ち悪いんだけど」



「気にすんな」




はぁー…



思わずため息がこぼれる。




トイレから出ると、戸塚洸大はトイレの前の壁に寄りかかって立っていた。




「待ってくれなくてもいいんだけど」



「ついでだ」




はぁー…






そんな感じで1日を過ごし、放課後裏門までついてくると「じゃあまたな」と言ってどこかへ行った。




それにまた何度目かわからないため息を一つついて、車へと向かった。



ため息で本当に幸せが逃げていくとしたら、今日1日でほとんどの幸せが逃げていったと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る