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「つーか、『あなた』ってやめてくんね?俺『戸塚洸大』っつーんだけど」


「さっき聞いた」


「何て呼んでくれてもいいけどよ、『あなた』とか、あと『戸塚くん』とかもなしな」


「なんで?そう呼んでる人いるじゃない」



「ほら」と言って、『戸塚くーん』と甘い声を出しながらキャアキャア騒いでいる廊下の女子に視線を向ける。



けれど、戸塚洸大は廊下には目もくれず、


「そよそよしいっつーか、なんかめちゃくちゃ距離がある感じだろ」


と答えた。



「まぁ、実際そうじゃない?」



それに私は冷淡に返す。



実際、戸塚洸大と私の間には『めちゃくちゃ距離がある』。



なんせ、彼と会ったのは今日で2回目。



それに、名前すら、同じ学校だったということすら、私は、知らなかったのだから。




「冷めてんなぁ、お前。まぁいいや。とにかく、洸大でいいから。炎雷の仲間はみんなそう呼んでるし。つーか、仲間にそよそよしい呼び方されたくねぇから」




……私は炎雷の仲間じゃない。




「まぁ、洸大様とかでもいいけどな」



そう言って、ニッと笑う戸塚洸大。



……でも、本人がそう言うのだからそれでいいか。



雅人も、総長様ですら呼び捨てなんだから。



そう呼ぶことに特に意味はない。



本人がそう呼べというからそうしているだけ。


それを拒む理由もないというだけのこと。





「洸大様」



そう、無表情で感情も込めず呼んだ。



「冗談だ冗談。そんな感情のこもってねぇの怖ぇからやめてくれ…。洸大でいいから。呼び捨て。つか、むしろそう呼んでくれ」



戸塚洸大は、あからさまにげんなりしたようにそう言った。


そして、「思ってもないこと言うなよな」と呟いた。



私はそれをただじっと見つめる。



‘思ってもないこと’を言ってるのはどっちだ。



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