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と思ったが、
「手ぇ出してみろ」
と、それまで黙っていた総長様が、眉間にしわを寄せ、不機嫌そうな声でそう言うと、怪我してる方の手を掴んだ。
「チッ、無茶してんじゃねぇよ」
しわをより深くさせ、怪訝な顔で掌を見つめる総長様。
そう言う顔も声も怒っているようだったけど、私の手を掴む総長様の手は、壊れものに触れるくらい優しかった。
そして、私の手を掴んだまま、もう片方の手で救急箱を開き、消毒液を取り出した。
「自分でできますから」
まさか総長様が手当てしてくれるとは思わなくて、そう言って掴まれていない方の手を伸ばそうとした。
が、総長様は無言で脱脂綿に消毒液を染み込ませ、そっと傷口に当てた。
消毒液の独特のニオイが鼻につき、手にピリっと痛みが走る。
それを無表情で見下ろす私に対し、顔をしかめながら手際良く手当てする総長様。
どちらも声を発しようとはせず、妙に張り詰めた空気が漂う。
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