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「あのさ、この腕のやつとってくれない?」



すっかり興味をなくした私は、縛られた腕を軽く見せながら、淡々とそう言った。




「は?無理に決まってんだろ。お前は人質なんだよ。」



「人質、ねぇ。炎雷助けに来なかったらどうする?」



「は?『炎雷の姫』人質にしてんだ、それはねぇだろ」



「私、炎雷の姫じゃないんだけど」



「あ?嘘ついても無駄だぞ。こっちはちゃんとしたところから情報もらってんだ。間違いねぇ」



「そこから間違ってるんだよ。そんなのあなたたちの勘違い。そのせいで私も迷惑してるんだよね」



「なに?」



「まぁいいや。あのさ、氷ない?」



こんなこと言ってもどうにもならないと思った私は、またしても興味をなくし、さらりと話を変えた。




「は?」



それに拍子抜けした顔をする総長さん。



それでも、私は気にせず続けた。



「顔、腫れてるでしょ?冷やしたいんだけど」




忘れかけてたけど、正直今はこっちの方が重要。



彼らが本当に助けに来るかどうかはわからないけど、今の状態で会うのはまずい。



アパートに帰ってから冷やせば明日の朝の迎えには、治っている予定だったのに、見事に予定を崩された。

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