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「総長!連れてきました!!」



私の腕を掴んでいる男が、やけに張りきった声でそう言った。



近くにいる私はうるさくて仕方ない。



思わず耳を塞ぎたくなったけど、車の中で両手を後ろ手に縛られたせいで、それは叶わなかった。




「おー、ご苦労。誰にも見られてねぇだろうな?」



そう言ったのは、一人掛けのソファーに偉そうに座った赤髪の男だった。




「は、はい!」



敬礼しそうな勢いで返事をする男。



こんな至近距離でそんなに声を出さなくたって普通に聞こえると思う。


というか、静かにして欲しい。



思わず顔をしかめるものの、この男の目に私は映ってないだろう。




「そうか、戻っていいぞ」


「はい!」



赤髪の男の言葉に、最後まで張り切った声を出していた男は、私を放置して戻って行った。

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