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もうなんだっていいか。最善の策を巡らしてみたものの、結局いい方法は見つけられなかった。
電話するのもしないのも、どっちにしてもいい結果になる気がしない。
だったらもういいや。考えるのはやめにしよう。
まっすぐ刃物を持つ彼女を見つめる。
残念だけど、ベタな展開に付き合ってあげるほど広い心は持ち合わせていない。
「刺せば?」
私は両手を軽くあげ、淡々と返す。
「な、」
私の行動が予想外だったのか、女は声を詰まらせ、顔をしかめた。
「私にいなくなってほしいんでしょ?だったらそれ、ぶっ刺せば?」
「……」
「ほら、早く。ここに刺せばあなたたちのお望み通り死んであげられるけど?」
「なに、コイツ…」
「頭イかれて…」
「ねぇ、早く殺してよ。ほら」
そう言って一歩前に出れば、ズルズルと後退する彼女たち。カッターを持つ手もガクガクと震えている。
それを見て、フッと笑ってしまった。
結局、口ばっか。威勢ばっかりよくて、結局そんな勇気なんてない。
震えている姿はさっきまでの勝気の彼女たちと違って、滑稽で、むしろ可哀想にさえ見える。
残念だけど、こんな脅しは私には通用しない。
私にはこんなの何の脅しにもならない。
刺せるものなら刺せばいい。
痛い思いはしたくない?痕が残る?
痛みとか、傷が残るのが嫌だという感情があったなら、手首に何度も刃を当てたりはしていない。
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